これで解決!新NISAの出口戦略

投資

はじめに

2024年より新NISA制度が開始し、投資を始められた方は多いと思います。
特に多くの方はインデックスファンドを積み立てられているのではないでしょうか。

高配当個別株投資は入り口は難しいが出口は簡単、
インデックスファンドは入り口は簡単だが出口は難しい

なんて言われることがあります。

個別株の場合、数多くある銘柄の中から自分で1つまたはいくつかを選ばないといけません。
財務状況を分析し、市場全体の動向と業界の将来性を見極める必要があります。
ですが、一度買ってしまえば配当金が自動的に定期的に入ってきます。

一方で、インデックスファンドの場合、初心者が買うべきファンドは少し調べれば簡単にいくつかに絞ることができます。
インデックスファンドは株の詰め合わせなので、最初から分散投資ができているわけです。
自動で銘柄の入れ替えもしれくれるので、銘柄単位の分析等は不要です。
しかし、ファンドの中で再投資をするので、売却をするまでは手元にお金が入りません。
例えば子どものためにお金を増やすことを目的として投資をしているなどであれば良いですが、
そうでない限りはどのタイミングでどのように売却するのか、を決める必要があります。
つまり、出口戦略を立てる必要があるわけです。

15年後の子どもの大学費用のために積み立てて15年目に売却をする、や、
老後2000万円問題に備えるために積み立てて60歳や65歳のタイミングに売却してまとまったお金を手元に入れる、
といったような計画をしている方は多いのでしょうか。
つまり、売却タイミングを明確に決める、というやり方です。
私は、この出口戦略は大きな危険を伴うと考えます。

本記事では、インデックスファンドの積み立てに対する、最適な出口戦略について解説します。
なお、「4%ルール」をよくご存知の方はこれ以上読んでいただかなくても問題ないかと思います。

「売却タイミングを明確に決める」戦略が危険な理由

上記の、15年後の子どもの大学費用のために積み立てをしている例で考えてみます。
順調に含み益が伸びていったが、14年目に半値に暴落したとしましょう。
教育資金が足りずに、大学を諦めてもらうことになってしまいます。
15年間もコツコツと積み立てを頑張ってきたのに水の泡・・・という可能性があるわけです。

このようなケースへの対策は用意していますか?
上の例だと奨学金などがあるかもしれませんが、そういったものがないケースもあるかもしれません。

NISAを始めた人の多くは、一度は資産運用のシミュレーションをしたり見たりしたことがあるのではないでしょうか。
毎月5万円積み立てて利回り7%で運用すれば30年後には6100万円になりますよ、という類のものを棒グラフや表などで示されたものです。
これは、S&P500やオルカンなどの優良なインデックスファンドの過去実績と照らし合わせれば、決して大きく外れたシミュレーションではありません。
ですが、こういうものを見ると、特に初心者だと勝手に右肩上がりになるものだと思い込んでしまいがちです。

確かに、長い目でみたら、右肩上がりです。
以下の図は、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の、2019年1月から2024年4月までの基準価額の推移です。
この期間の騰落率は170%近くにもなります。

三菱UFJアセットマネジメントより引用

それでは、短期的に見てみます。
以下の図は、2020年2月21日から2020年11月12日の約9月間を切り取ったものです。
コロナショックの時ですね。
2月21日から3月24日の期間の騰落率は約-34%になります。
頑張って2000万円を貯めたと思ったら、わずか1か月ちょっとで1320万円になってしまいます。


三菱UFJアセットマネジメントより引用

グラフの右端でやっと直近のピーク時の基準価額に戻しています。
ですが、売却タイミングを決めていた場合、こんなに待てるでしょうか。
コロナショックの時はこれで済みましたが、リーマンショック級の暴落が来たらどうでしょうか。
もっと下がるし、もっと回復に時間がかかります。

暴落はいつ来るか分かりません。
これが、私が「売却タイミングを明確に決める」戦略が危険だと思う理由です。

最適な出口戦略とは?

それでは、最適な出口戦略とはなんでしょうか。

それはズバリ、「少しずつ崩していく」戦略です。
暴落のダメージを少しでも減らすことを目的としています。
60歳以降のお金を貯めるのを目的にするならば、例えば50歳頃から少しずつ崩していくのです。
崩したものを使ってしまったら意味がないですよ。銀行などに預けておきます。金利目的で定期預金でも良いかもしれないですね。
59歳に暴落が来ても、9年間崩した分は救われたわけです。
特定の目的がない場合は、キャッシュフローが増えた分、少し贅沢な生活費に充てても良いかもしれません。

ここで、いくらずつ崩していけばいいの?という疑問が出てくると思います。
また、崩していくといつかは無くなってしまうのでは?とも思うかもしれません。

ここで出てくるのは、「4%ルール」という考え方です。

「4%ルール」とは、アメリカの2つの研究によって導かれた資産運用に関する考え方です。
1つは1994年にWilliam Bengen氏、もう1つは1998年にアメリカのトリニティ大学の教授研究チームにより発表された論文が根拠になっています。
これらの研究によると、毎年資産運用額の4%未満を崩していっても、30年以上経過しても資産が尽きる確率は極めてに低いとのことです。

この4%ルールは、アメリカの一般的な株価の成長率である7%からインフレ率である3%を差し引いて計算されたものです。
つまり、投資で得られる利益の範囲内で生活を続ければ、資産を減らすことなく生活ができるということです。

これはアメリカの話です。日本とは株価の成長率やインフレ率も異なります。
さらに、日本では為替も影響してきます。
ですが、この考え方を適用することは可能です。
心配ならば、例えば独自ルールとして3%に変えてしまって、65歳になったら状況を見て4%に戻しても良いわけです。

定額で崩していくやり方もあるのですが、これだと暴落で10年間市場が低迷した、などの場合だと資産が底を尽きる可能性があります。
やはり低率で崩していくのがベターかと思います。

まとめ

本記事では、インデックスファンド積み立ての出口戦略について、
「売却タイミングを明確に決める」戦略が危険な理由と、「少しずつ崩していく」戦略、つまり「4%ルール」を適用することが最適である理由について解説しました。

少しでも参考になれば幸いです。

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