VYMとSCHDの違いについて解説!

はじめに

2024年9月27日より、楽天証券で高配当ETFであるSCHD(楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型))を購入できるようになりました。
さらにその後、2024年12月20日からはSBI証券でも同様にSCHDに実質投資できる「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」が販売開始されています。

SCHDは運用開始以来(13年連続で)増配を続け、高配当ながら質の高い銘柄で構成された非常に優秀なETFです。また経費率(信託報酬)は0.06%と超低水準で、楽天版・SBI版の投信を通じた場合でも信託報酬は楽天版:約0.192%、SBI版:0.1227%(税込、ETF経費率0.06%込み)まで抑えられています。

大人気の高配当株ETFであるVYMとの違いについて、最新の情報をもとに解説したいと思います!

ファンドの基本情報

まず最初に、両ETFの基本情報をご紹介します。

VYM (Vanguard High Dividend Yield ETF)

バンガード・ハイディビデンド・イールドETF(Vanguard High Dividend Yield ETF)は米国籍のETF(上場投資信託)です。平均以上の配当を出す普通株で構成されるFTSEハイディビデンド・イールド指数に連動する投資成果を目的としています。時価総額加重平均を用いて保有銘柄のウエートを算定します(引用:Bloomberg)。

  • 運用会社:Vanguard
  • 設定日:2006年11月10日
  • 純資産総額:約600億ドル(2025年1月現在)
  • 経費率:0.06%

SCHD (Schwab U.S. Dividend Equity ETF)

シュワブ・米国配当株式ETF(Schwab U.S. Dividend Equity ETF)は米国籍のETF(上場投資信託)です。ダウ・ジョーンズ米国配当100指数に連動する投資成果を目指し、配当利回りが高く財務健全性の高い米国株100銘柄に厳選投資します(引用:Bloomberg)。

  • 運用会社:Charles Schwab
  • 設定日:2011年10月20日
  • 純資産総額:約680億ドル(2025年1月現在)
  • 経費率0.06%

銘柄構成について

次に、両ETFの銘柄構成についてご紹介します。

VYM

約590銘柄と非常に多くの銘柄を保有しており、幅広い分散投資が可能です。

トップ10銘柄は以下の通りです。(2025年4月現在

  1. ブロードコム (Broadcom Inc) – 約4.8%
  2. JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー – 約3.7%
  3. エクソンモービル – 約2.5%
  4. ウォルマート – 約2.3%
  5. プロクター・アンド・ギャンブル – 約2.1%
  6. ユナイテッドヘルス・グループ – 約2.1%
  7. ジョンソン・エンド・ジョンソン – 約2.0%
  8. ホーム・デポ – 約1.9%
  9. アッヴィ – 約1.9%
  10. コカ・コーラ – 約1.5%

SCHD

約100銘柄と比較的少数の銘柄で構成されており、より厳選された高配当株に集中投資しています。

トップ10銘柄は以下の通りです。(2025年4月現在

  1. コカ・コーラ – 約4.3%
  2. ベライゾン・コミュニケーションズ – 約4.3%
  3. アルトリア・グループ – 約4.3%
  4. シスコシステムズ – 約4.2%
  5. ロッキード・マーチン – 約4.2%
  6. コノコフィリップス – 約4.1%
  7. ホーム・デポ – 約4.1%
  8. テキサス・インスツルメンツ – 約4.0%
  9. シェブロン – 約3.8%
  10. アムジェン – 約3.8%

セクター配分について

次に、両ETFのセクター配分をご紹介します。

VYM

  • 金融:約21%
  • ヘルスケア:約14%
  • 生活必需品:約13%
  • 情報技術:約12%
    (その他セクターは各10%未満)

SCHD

  • 生活必需品:約20%
  • エネルギー:約19%
  • ヘルスケア:約14%
  • 資本財:約13%
    (その他セクターは各10%未満で、金融・情報技術などは各約9%、公益事業・不動産は含まれていません)

パフォーマンス比較

次に、両ETFのパフォーマンスをご紹介します。

5年間のトータルリターン(直近5年程度)

  • VYM:約+67%
  • SCHD:約+73%

直近配当利回り(2025年5月現在)

  • VYM:約3.0%
  • SCHD:約4.0%

運用手法の具体的な違い

次に、両ETFの運用手法についてご紹介します。

VYM

  • FTSE High Dividend Yield Indexに連動し、配当利回りの高い米国株式に幅広く投資します。
  • 特定のセクターや銘柄に偏重しないよう、銘柄数を多くして分散投資を重視しています。

SCHD

  • Dow Jones U.S. Dividend 100 Indexをベースとしていますが、組入銘柄選定に以下の独自基準を課しています:
    1. 10年以上の連続増配・配当支払実績があること
    2. 時価総額200億ドル以上であること
    3. 1日平均出来高50万株以上と流動性が高いこと
    4. 配当性向80%以下で無理のない配当を行っていること

日本の投資家にとってのアクセス性

最後に、日本で両ETFに投資する際のアクセス性についてご紹介します。

VYM

SBI証券、楽天証券、マネックス証券など主要なネット証券で直接ETFを買付可能です。特定口座やNISA口座でも買付できます。

SCHD

以前は国内証券会社から直接ETFを購入することはできず、インタラクティブ・ブローカーズなど海外口座が必要でした。しかし、現在は楽天証券とSBI証券でSCHDに投資できる投資信託が提供されています。

  • 楽天証券:「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」として2024年9月より提供開始。楽天証券のファンド検索では「SCHD」ではヒットしないため、検索時は「楽天・高配当・米国ファンド(四半期決算型)」と入力してください。このファンドは特定口座はもちろん、新NISAの成長投資枠でも購入可能です。信託報酬は税込0.192%(ETF経費率込み)となっています。
  • SBI証券:「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」(愛称:SBI・SCHD)として2024年12月より提供開始。SBI証券のみで購入可能なネット専用ファンドで、新NISAの成長投資枠にも対応しています。信託報酬は2025年5月より税込0.1227%(ETF経費率込み)と業界最安水準に引き下げられました。

※いずれも米国ETF「SCHD」そのものを直接購入しているわけではなく、国内投信を通じて実質的にSCHDに投資する形ですが、為替手数料等を気にせず円貨で手軽に購入できるメリットがあります。

まとめ

以上の情報から、VYMはより保守的で幅広い分散投資を好む投資家に適していると言えるでしょう。
一方でSCHDは選別基準を設けている分、より積極的なアプローチと高いリターンを求める投資家に適しています。特に連続増配銘柄への集中投資や高い分配利回りは魅力的です。

個人的には、SCHDはVYMの上位互換というイメージです。高配当かつ増配傾向の銘柄に厳選投資するSCHDは長期的な資産形成において心強い存在でしょう。ただし両ETFとも経費率が低く優れた商品であり、それぞれの投資戦略・ポートフォリオの違いを踏まえて、ご自身の目的に合った方を選ぶと良いでしょう。この記事が参考になれば幸いです。

参考資料: バンガード社・シュワブ社の公式サイト、Bloombergデータ、モーニングスターなど(数値は2025年時点の最新情報に基づく)

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